再公営化という選択 世界の民営化の失敗から学ぶ
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本書は2017年に発行された「Reclaiming Public Services: How cities and citizens are turning back privatisation」の日本語版である。発行については山本太郎参議院議員の提案を受け、山本太郎事務所とトランスナショナル研究所とのコラボレーションで実現した。
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再公営化という選択:世界の民営化の失敗から学ぶ[要約] (PDF, 2.11 MB)Average time to read: 20 mins minutes
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ニューデリーからバルセロナ、アルゼンチンからドイツ、幾千の政治家や市職員、労働者と組合、市民運動体は人々の基本的な生活のニーズと環境問題に応えるために公共サービスを取り戻したり、新たに作り出す行動を起こしてる。これらの運動は主に自治体レベルで起きている。私たちの調査で、公共サービスの(再)公営化の成功事例が2000年以降、世界で少なくとも835あることが分かった。これらは45 か国の1,600 以上の都市を巻き込んでいる。
なぜ世界中の人々は今、民営化された公共サービスを民間企業から再び「公」の下に取り戻しているのだろうか?民間企業による不適切経営や労働者権利の侵害の停止、地域経済・資源への貢献やコントロールの回復、良質な公共サービスをすべての世帯に提供すること、また、エネルギー転換や野心的な環境政策の実行など、再公営化の背景にはさまざまな動機がある。
再公営化は小さな町でも国の首都でも起きている。様々な公的所有の形態をとり、市民や労働者の関わり方もさまざまであるが、この多様性の中から共通の姿が浮かび上がってくる。効率的で民主的、すべての世帯が恩恵を受ける公共サービスを再建することは可能だということだ。続くサービスの質の低下、上昇し続ける料金、民営化は、私たちが受け入れなくてはならない必然ではない。多くの人々や自治体が民営化に終止符を打ち、私たちの生活に欠かせないサービスを「公」の下に取り戻している。
山本太郎、トランスナショナル研究所 発行
日本語翻訳版 2019年1月
翻訳 宇野真介、市村慶
監修 岸本聡子
インフォグラフィックス 世界の公共サービスの(再)公営化
はじめに 語られていない話 岸本聡子&オリヴィエ・プティジャン [PDF]
一章 フランス - 民間の失敗を経て、民主的で持続可能な公共サービスを地域で再構築する [PDF]
オリヴィエ・プティジャン
二章 ラテンアメリカにおける再国有化の今日的な動機 [PDF]
エムリサ・コルバート
三章 貿易投資協定に署名できない835の理由 [PDF]
ラビニア・ステインフォート
四章 ノルウェー - 社会サービスを自治体の手に取り戻す [PDF]
ビヨン・ペタセン&ニナ・モンセン
五章 ドイツ&オーストリア - 労働者にとっての再公営化 [PDF]
ラウレンシアス・テアジック
六章 潮流に抗するインドの脱民営化 - すべての人に不可欠なサービスを [PDF]
ベニー・クルビラ
七章 官民連携の危険な幻想を解明する [PDF]
マリア・ホセ・ロメロ&マチュー・フェアフィンクト
八章 私たちの送電網 - ドイツにおけるエネルギーの再公営化動向 [PDF]
ソーレン・ベッカー
九章 30年の民営化を経て - 公的所有が政治課題となったイギリス [PDF]
デビット・ホール&キャット・ホッブス
十章 スペイン、カタルーニャ地方 - 民主的な公営水道を取り戻す市民運動の波 [PDF]
ミリアム・プラナス
まとめ 公共サービスの未来を創り始めた自治体と市民 [PDF]
オリヴィエ・プティジャン & 岸本聡子
付録 1 (再)公営化リスト
付録2 (再)国有化リスト
付録3 調査方法と参加型調査